TPP著作権条項についての声明

2015年3月8日

TPP著作権条項についての声明

図書館問題研究会全国委員会

 図書館問題研究会は、住民の学習権と知る自由を保障する図書館の発展を目指して活動する図書館員、住民、研究者などで構成される個人加盟の団体である。当会は図書館に関わる立場から、TPP(環太平洋経済連携協定)の協議の透明化を求めるとともに、著作権に関して各国で対立のある条項について、とりわけ著作権保護期間の延長と著作権侵害の非親告罪化を妥結案より除外することを求める。理由は以下のとおりである。
TPPの交渉が終盤に差しかかり、著作権保護期間の70年への延長および著作権侵害の非親告罪化について米国の提案を受け入れる方向とマスメディアでは報道されている。一方で、政府はこれらの報道を否定するものの、協議内容については一切情報を公開していない。
 TPPは交渉内容が国民から秘匿されたまま密室で協議され、21分野一体の案だけが提示される。様々な分野に重大な影響を与え、国内法に優先される条約がこのような形で検討し妥結されることには大きな問題がある。個別の条項について協議状況などを公表し、正確な情報による国内での議論に基いて交渉を行なうべきである。
 著作権保護期間の発表及び著作権者の死後70年への延長については、現在の50年の期間でも権利者が不明な「孤児著作物」が大きな問題となっている。また、保護期間が終了した著作物は、青空文庫や国立国会図書館の近代デジタルライブラリーなど関係者の努力でデジタル化され、広く利用に供され文化の発展に寄与している。保護期間の更なる延長は、遺族に経済的利益をほとんどもたらさないにも関わらず、孤児著作の増加と古い作品へのアクセスを制限することにつながる。また、各地の図書館で取り組まれている地域に関する資料のデジタル化、ウェブを通じた公開にも数十年の停滞をもたらしかねない。
 また、著作権侵害に対する非親告罪化は、著作権者に処罰の意図がなくとも起訴・処罰が可能となり、パロディなどの二次創作やデジタルアーカイブ、復刻出版などを萎縮させることが危惧されている。このように表現の自由を抑圧しかねない条項を、経済連携協定にかこつけて導入することについては、強い懸念がある。
 日本では、著作権法にフェアユースのような公益に資する例外規定がないにも関わらず、TPPでは著作物の自由な利用を抑制させるような条項のみの導入が予想され、それを撤回することが極めて困難である。
 図書館は、住民が様々な著作物に触れる機会を提供し、国民の教育と文化の発展に寄与することを目的としている。こうした図書館のはたらきとTPPの著作権条項のもたらすものは相反している。このため、TPPの妥結案より著作権に関して各国で対立のある条項について除外するよう求めるものである。