「司書を会計年度任用職員として任用」と条例・規則に明記することに反対します

2022年4月6日

2021年5月1日
図書館問題研究会
委員長 中沢 孝之

 図書館問題研究会は、住民の学習権と知る自由を保障する図書館の発展を目指して活動する図書館員、住民、研究者など図書館に関心を持つ人たちによる個人加盟の団体です。

 2020年4月から自治体に会計年度任用職員制度が施行されましたが、今回の制度改正に伴い図書館職員の任用についても条例・規則・要綱の改正が各自治体で行われました。公共図書館を対象に調査したところ「司書」を会計年度任用職員で任用すると明記されている条例・規則・要綱等があることがわかりました。
 当研究会では、公共図書館の業務は単年度で終わるものではなく、基本的には任期の定めのない常勤職員で遂行されるものと考えています。その中でも「司書」は図書館の中心的業務を担うために置かれる専門職員です。
 今回の会計年度任用職員制度施行にあたって総務省から出されたマニュアル*1にも「各地方公共団体における公務の運営においては、任期の定めのない常勤職員を中心とするという原則を前提とすべきです」とされ、さらに常時勤務を要する職として「(ア)相当の期間任用される職員を就けるべき業務に従事する職であること」「(イ)フルタイム勤務とすべき標準的な業務の量がある職であること」としています。
 公共図書館での司書の業務は基本的には以上の条件を満たしており、条例・規則に会計年度任用職員にて「司書」を任用することを明記することは極めて問題が多いと考えます。
 財政状況などにより、現在「司書」を会計年度任用職員で任用しているとしても、将来にわたって1年限りの任用形態を常態化することは、業務の安定性を妨げ、日本の公共図書館を担う人材の育成を困難にします。
 これらの条例・規則を制定されている自治体におきましては、速やかに再度の検討と法律の趣旨に沿った改正をお願いします。

*1 総務省自治行政局公務員部「会計年度任用職員制度の導入等に向けた 事務処理マニュアル (第2版)」2018.10 

Posted by tmk